地域材に目を向け始めた家具屋さん

活動・実績紹介

鶏が先か、卵が先か

インスタグラムを通じて、愛知県の家具屋さんより問い合わせがあり、終日アテンドさせていただきました。

広葉樹コンシェルジュという強烈なワードに惹かれたというのが、きっかけではあったみたいですが、そもそもなぜ自分たちはオーク材を使っているのか、改めて問い直しをしているとのことでした。

いわゆるオーク材と呼ばれるものは、ヨーロッパ原産のヨーロッパオークや、北米原産のホワイトオーク・レッドオークといった材を指します。広大な大陸で育った良質な家具用材です。

鶏が先か、卵が先かといった話になりますが、良質なオーク材があるがゆえに、洋家具にはオーク材が多く使われ、その結果、洋家具を作るにはオーク材を使わないとマーケットに合わない側面もみられるとの話でした。

では、自分たちが家具づくりにおいて、オーク材を使う意味ってなんだろうか。

森から始まるものづくりがあってもいいのかもしれない

そんな問いかけの最中、飛騨にまで足を運んでいただき、飛騨の広葉樹の森の現状と、そこから生み出される多種多様な広葉樹の木材を見ていただきました。

80年生前後の森が大半を占める飛騨の広葉樹の森は、自然界では決して高齢な樹齢ではありません。家具材に使えるようになるのは、100年生以後ともいわれます。

しかし、だからといって飛騨の広葉樹が使い物にならないかというと、決してそういうことではないはずです。

積雪地域の育んだ落葉広葉樹による多様な樹種構成が、多種多様な広葉樹材を私たちに提供してくれています。オーク材が当たり前のように海を越えてやってきて、木材として簡単に手に入るのに対し、飛騨の森から出てくる広葉樹材というのは、単なる素材としてではなく、その奥に飛騨の森が垣間見えるような、森との繋がりをもった材料として作家さんの手に渡ります。

森から始まるものづくりがあってもいいのではないだろうか。

そんな話をして、愛知へと戻っていきました。

森で育まれたかたちそのままを生かすために、ものづくりをし、伝えていくこと。それは小規模である家具屋にしかできない役割なのかもしれないと、家具屋さんはおっしゃいました。

まだまだ知られていない飛騨産広葉樹。

素材として当たり前のように流通している外国産広葉樹ですが、始まりには必ず森があり、そして板材になるまでのプロセスがあります。

飛騨の森には飛騨の森の歴史があるということを、より多くの作り手の方々に知ってもらい、飛騨の森から始まるものづくりができないか、一緒に考えていきたいなと思っています。