銘木とチップ材の境

活動・実績紹介

平野木材さんに行ってきました

各務ヶ原にある原木・製品市場、平野木材さんに行ってきました。行けるときは毎月顔を出し、相場の確認をしています。緊急事態宣言・蔓延防止等重点措置の期間にあたりましたが、参加者の数はそれほど減っていない印象です。

昨今はウッドショックといわれる木材価格の高騰があり、広葉樹マーケットではどういう影響が出るのか、気になっていました。

蓋を開けてみると、原木単価・製品単価ともに、それほど大きな変化は感じられず、北海道・東北とは違った値動きのように感じます。針葉樹ほど顕著にマーケットへ影響が出ていない様子でした。

小径広葉樹の価値とは

平野木材さんを訪れると、なるほど用材というのはこういう材料のことを指すのかということがよくわかります。

大径材から挽かれた幅広の板材が所狭しと並べられ、さらにそのなかで優劣がつき、相場が形成されていくその様は、何度見ても興味深く感じます。

こうした市場には決して並ぶことのない小径広葉樹ですが、その価値は一体如何ほどのものなのかと、いつも考えさせられます。

平野木材さんに出品される材料を用材の代表とするなら、小径広葉樹は次点にあげられ、その下に枕木材、チップ材がくるように思います。従来の流通では、用材・枕木・チップ材しかなかったところを、飛騨地域では新たに小径広葉樹を中心とした未利用材を流通させようと試みています。

未利用広葉樹は、用材とチップ材の境界に眠る広大な余白であり、まだまだ未知数の素材だといえます。

一方で、そうした境界こそが、私たち人間の文化的想像力を最大限に発揮させてくれる場所です。あらゆる妖怪は、こうした境界への想像力から生み出され、あらゆる争いは境界のもつ曖昧さから生まれている、そんな動的で元気な場所が境界です。

未利用材は、まさに境界の素材であり、用材にもチップ材にも近い中間的な存在です。それは曖昧で得体の知れないものではありますが、多種多様な価値が引き出される可能性を秘めていて、僕はとても魅力的な存在に感じてしまいます。

広葉樹活用コンシェルジュという立場もまた、流通の中間にたって媒介・コーディネートするという意味では、中間的でかつ境界的な役割であり、未利用広葉樹と似た境遇で親近感が湧きます。

境界という名の広大な余白の海を、どれだけ想像力豊かに泳ぎ切れるか、そんな遊びの延長で未利用広葉樹と向き合っています。